ベンチプレスのパフォーマンスを上げるには、高レップトレーニングと低レップトレーニングのどちらがおすすめでしょうか?
低レップトレーニングは効率的にパフォーマンスの向上が期待できます。でも高レップトレーニングは長い目でみると、とても大事なトレーニングです!!
どちらもメリットとデメリットがあり、使い分けが必要そうです。
最初に筋力って何かを再確認します。
ベンチプレスのパフォーマンスに影響があるのは
・筋肉が太くなって強くなること(筋肥大)
・神経系の抑制が低減されること(神経系の発達)
・動作が上手になること(テクニックの向上)
です。
これらの内、筋力の向上は、筋肥大と神経系の発達によります。
◆筋肥大
筋肥大は大きな筋肉をつくることです。筋肉の質も重要ですが筋力は筋肉の大きさに比例します。
◆神経系の発達
神経系の発達により、筋肉が力を発揮するときにより多くの運動単位(運動神経+紐づけられた筋肉)が発動されるようにすることにより筋力が強化されます。
筋トレのボリュームは重要です!
筋トレ ボリューム理論
筋トレのボリューム理論では
ボリューム = 使用重量 × レップ数 × セット数
です。
筋トレボリューム理論は、筋肥大はトレーニングのボリュームに大きな影響をうけ、これを管理することにより、効果的に筋肥大を行うものです。
簡単には、トレーニングのボリュームが大きい方が筋肥大がしやすいというものです。
・トレーニング1: 100kg 3レップ 3セット
⇒ボリュームは900kgです。
・トレーニング2: 90kg 5レップ 5セット
⇒ボリュームは2250kgです。
MAX重量が110kgの人にとっては、100kgのセットはかなりハードなトレーニングです。90kgは重量的には余裕がありますが、筋肥大は後者の方が圧倒的に起こり易くなります。
ボリュームが同じなら筋肥大も同じ!?
ボリュームと筋肥大の関係は人によって言うことは多少異なりが、ボリュームが同じであれば筋肥大効果は同じであるという研究もあります。
100kg×3レップ×8セット と 100kg×8レップ×3セット の筋肥大効果はほぼ同じ
という考え方です。
参考動画「筋肥大に最も効果的な「レップ数」とは?」
賛否もありそうですが、短期的にはほぼ同等と考えると。低レップトレーニングと高レップトレーニングのメリットとデメリットが分かりやすくなります。
低レップと高レップトレーニングの特徴
筋トレボリューム理論は、ボリュームは筋肥大に大きな影響があり、ボリュームが同じであれば筋肥大量も同じという研究もあるというものでした。
でもボリュームが同じであれば、筋肥大量も同じって本当でしょうか??
具体的例で考えてみた!
ここでは、理解し易くするために
低レップトレーニング:100kg×3レップ×8セット ⇒ ボリューム 2400kg
高レップトレーニングを80kg×10レップ×3セット ⇒ ボリューム 2400kg
でどちらもボリュームは同じです。
それぞれの特徴を考えてみました。
トレーニング 時間 |
怪我 | 筋力への寄与 | 体重 | プレッシャー | |
低レップ | 長い | しやすい | 神経系強化 | 増えにくい | 重さ |
高レップ | 短い | しにくい | 筋肥大 | 増える | 回数 |
◆トレーニング時間
1セットの挙上時間は高レップトレーニングの方が長いのですが、セット数が3セットと8セットなので、トータルの時間は低レップトレーニングの方がかなり長くかかります。
◆怪我
重量が100kgと80kgなので、関節にかかる負荷はかなり大きくなります。低レップトレーニングでは、セット数がすすみフォームを崩すと怪我なども起きやすくなります。
◆筋力への寄与
低レップトレーニングでは、神経系が鍛えられ、より多くの運動ユニットが使われるようになり、筋肥大はそれほどなくても筋力がアップして重量が扱えるようになります。
高レップトレーニングでは、主に筋肥大が起きることにより筋力アップして重量が扱えるようになります。
◆体重
体重は、低レップトレーニングでは筋肥大は小さいので増えにくい、高レップトレーニングでは、筋肥大が起こるので体重増が起きやすくなります。
◆プレッシャー
MAX重量が110kgの人にとっては100kgの3レップは、重さがかなりプレッシャーになる重量です。でも80kgは、重さに対するプレシャーそれほどないと思うのですが、10レップという回数はプレッシャーになります。
筋トレボリューム理論の矛盾
ここまでで矛盾がでています。この具体例ではボリュームが同じなのに、低レップのトレーニングでは神経系が発達して筋肥大はあまり起きないことになります。でもボリューム理論が正しいのであれば筋肥大も起きていることになります。
この矛盾を解決する解があります。
神経系の発達と筋肥大が同時におきて、トータルとして筋力がアップしている可能性があります。
高レップトレーニングと同じボリュームですが、より強くなっている可能性です。
筋力アップではボリュームが等しければ
低レップトレーニングは、筋肥大と神経系の向上で効率的に強くなる
と考えれます。これは経験的には納得がいく感じです。
高レップトレーニングのメリットと行うタイミング
どうも低レップトレーニングの方が効率的でベンチプレスのパフォーマンスが上がりやすいようです。
では一体、高レップのトレーニングどんなタイミングで行うのが正解なのでしょうか?
長年ベンチプレスを行った経験から考えると、個人差はありますが、ある程度の重量に達すると、それからは怪我との闘いが始まります。体が耐えられない重さに近づいているのです。
この耐えられる体をつくるのが高レップのトレーニングです!!
表現は難しいのですが、高レップでトレーニングを行っているときは地力があり、重たい重量を押し切ることができるという感覚があります。
高レップベンチプレスのメリット
メリットは、なんといっても、筋肥大して体が変わることで体つくりができます。これにより、地力アップや怪我防止になります。
これ以外にも、トレーニングが短時間で終わらせれるとか、重量に余裕があるので、挙げることに夢中にならず。フォームの強化や狙った筋肉に効かせることができます。
高レップベンチプレスを行うタイミング
低レップトレーニングの方が効率的と考えられますが、先のことを考えた体つくりはとても大切です。特に他の運動などで体を鍛えてない人はこのプロセスが大切です。
このため、初心者から中級者までや休養明けには、高レップトレーニングがおすすめです。また上級者でも怪我が多かったり、地力不足を感じたときは、一度高レップトレーニングにもどるのがおすすめです。
具体的なトレーニング方法は
高レップのトレーニングは、8レップ3セットを基本に考えるのがよいかと思います。
MAXを伸ばすにも、筋肥大が目的でも重い重量を持つことは大切なので10レップは多すぎに感じます。
また高重量を目指すならば、トレーニングの前半で低レップで3セットぐらい行い、後半で8レップ2セットなんてやり方もありです。
更に高度なやり方は、サイクルトレーニングで8レップを行うことです。サイクルトレーニングの例としては、8レップ、3セットをベースで、最初は軽い重量で初め、毎週重量を増やしていき4~6週ぐらいのサイクルを回していきます。
まとめ
低レップは神経系の発達に、高レップは筋肥大に効果的です。
筋トレのボリューム理論では、ボリュームが筋肥大に大きな影響があります。
同じボリュームならば、同じ筋肥大が起きるのが正しければ、低レップトレーニングは、ベンチプレスのパフォーマンス向上にとても効率的なトレーニングです。
でも長期視点では、高レップトレーニングはとても重要です。怪我への耐性や体の強さを得ることができ、結果として、より高いパフォーマンスを達成することができます。