理学療法士でトレーナの庵野さん著の「科学的に正しい筋トレ」は2019年3月に初版が、2023年2月に16版が発行されています。このカテゴリーではロングセラーといえます。
内容は筋トレに関して大学の研究などのエビデンスを元に「正しい筋トレ」についてです。
今回はベンチプレスの愛好者目線で読んでの注目ポイントを再確認します。
筋トレの科学的な研究はここ数年で色々な新しい発見があります。
2019年頃までの定説となった筋トレの科学について、エビデンスを用いて記載しているのが
この「科学的に正しい筋トレ」です。
特徴はなんといっても大学の研究などのエビデンスと紐づけ紹介していることです。
本やネット、YouTube動画などで最新の情報を常に集めている人にとっては、細かいところを別にすると驚くべき内容は含まれていないのではないでしょうか
◆どんな人におすすめ
・最近の筋トレの定説について再認識したい人
・筋トレの常識の元になるエビデンスを知りたい人
・話題になった本の内容を知りたい人
におすすめの本です。
筋トレ方法など実用的な本を求めている人は違う本を探しましょう!
この本は、序と4つの章で構成されています。
【序 章】 筋トレに関する7つの「新常識」
【第1章】 これが、科学的に正しい「筋トレ方程式」だ!
【第2章】 これが、科学的に正しい「トレーニング」 だ!
【第3章】 これが、科学的に正しい「タンパク質摂取法」 だ!
【第4章】 これが、科学的に正しい「筋トレの続け方」だ!
序は「7つの新常識」ということで、この本で紹介したいポイントが記載されています。これをみて読む読まないかを決めてもよいのではないでしょうか!
序の7つの「新常識」
新常識① 筋トレ成果は、バーベル、ダンベルの重さで決まらない
新常識② 生体力学が明らかにした「正しい筋トレのフォーム」
新常識③ 従来の常識を覆す「タンパク質の最適な摂取方法」
新常識④ タンパク質を摂っても「腎臓」は悪くならない
新常識⑤ 筋トレに効くサプリメント。効かないサプリメント
新常識⑥ 筋トレ「病気に強いカラダ」を与えてくれる
新常識⑦ 筋トレが続かない理由は「ヒトの進化」にあり
そもそも一体何のために筋トレを行うのでしょうか?
上級者の筋トレの目的は、大きく分けて2つです。
◆筋トレ目的
・筋肥大 ⇒ ボディーメイク、ボディービルダー
・高重量を挙げる ⇒ パワーリフター、ベンチプレッサー
もちろんこの他にも、初心者から上級者に共通で心身の健康増進などの目的もあります。
ベンチプレス愛好者の視点を理解するには、ベンチプレスが強くなるための3つの要素を理解すると分かりやすいです。
◆ベンチプレスが強くなるための3つのポイントは
①筋肉が太くなって強くなること(筋肥大)
②神経系の抑制が低減されること(神経系の発達)
③動作が上手になること(テクニックの向上)
残念ながら、多くの筋トレを題材にした著書は、筋肥大がメインに書かれているものが多いのも事実です。
より重たいものを挙げる経験していない人が書くと薄っぺらいものになります。
ベンチプレス愛好者の視点では、この3つのポイントについて記載があるのが良い本のベースです。
◆ベンチプレス愛好者の視点
・より重たい重量を挙げたい!
・筋力を強くするための筋肥大、神経系を鍛えたい!
・筋トレの心身に対する影響は?
等々です。
この本では第一章に筋肥大と神経系の発達の内容が、第二章にテクニックのことについての記載あります。
第三章はサプリメントについて、第四章は筋トレの効用についてです。
YouTube動画でも要約が紹介されています
筋肥大は、低強度(低重量)でも高強度(高重量)でおこなっても総負荷量が同じであれば、同程度の効果が期待できる。
あまり極端な場合は別としても、幾つかのエビデンスで証明されています。
近年筋トレの常識に一番影響を与えた事実です(現在では多くの人の常識となっています)。
この本ではこの定説を筋トレ方程式と呼んでいます。
◆筋トレ方程式
・総負荷量 = トレーニング強度(重量)×回数×セット
・筋肥大の効果 = 総負荷量×セット間の休憩時間×関節を動かす範囲×運動スピード×筋収縮の様式×週の頻度
ベンチプレスが強くなるためのポイントの一つである筋肥大についてはことさらに高重量でやる必要はないことになります。
疲労感や怪我を考えるとこれはかなり有難いことです。
これは一般には神経系のトレーニングと呼ばれています。
1つの筋肉には複数の大きな運動単位があります。
強い力を発揮するためには、より多くの運動単位を同期させ発火頻度を高める必要があります。
これを実現するためには、高重量で低レップのトレーニングが必要になります。
静的ストレッチを行うと神経系の働きが落ちてパフォーマンスが悪化します。
◆有効なウオームアップは
・軽い有酸素運動で筋肉の温度を高める
・特異的ウォームアップ(行う運動と同じ運動で動的ストレッチ)を行う
のが有効です。
これらも多くの人が常識としているのではないでしょうか
高強度のトレーニングの翌日に、軽い運動をすると疲労がとれるというのがアクティブクールダウンです。
残念ながら効果がないといるエビデンスが多く上がっているようです。
実は私は疲れているときにウォーキングやストレッチ、軽い運動をして疲れをとっていました(取った気になっていました)。
これは、私にとって新しい知見です!
エルゴジェニックエイドとは
エルゴジェニックエイドは、運動能力影響する可能性のある栄養素や成分を含んだサプリメントのことです。
一般的にはサプリメントは不足する栄養を補完するものです。一方エルゴジェニックエイドは、100のものを120に挙げるといった、普段以上のパフォーマンスを発揮さるために使われるサプリメントです。
国際スポーツ栄養学会では、「筋肥大」と「トレーニングパフォーマンス」の2つの視点でサプリメントの効果を示すエビデンスレベルを3つに分類しています。
この中でAランクに分類されているものは、「明らかに安全で効果のある強力なエビデンスを示すもの」です。
◆エルゴジェニックエイド(Aランクのもの)
・筋肥大の効果を高める
HMB(トレーニング初心者)、クレアチン
・パフォーマンスを高める
ベータアラニン、カフェイン、クレアチン
この中で、あまりポピュラーでないのはベータアラニンです。効果は筋疲労が軽減して筋トレパフォーマンスが高まります。
ベータアラニンはアミノ酸の一種でパウダーやカプセルで売られています。
またカフェインを摂取すると疲労を感じまでの時間が遅くなり、その結果としてパフォーマンス維持・向上ができます。
気がついている人も多いですが、ここ一番でドリンク剤を飲むと集中力が上がり疲労がとれたように感じますが、時間が経つと疲労が襲ってきます。
最終章の「筋トレの続け方」だ!には、筋トレの効用の記載が多くあります。目新しいところは少ないですが大事なところです。
◆筋トレの効用
・がんによる死亡率は31%減少し、すべての病気による死亡率は23%減少する
・睡眠の質を向上させる
・メンタルを改善させる
近年の研究では、この本の4章にかかれている筋トレの効用が多く解明されています。
筋トレはボディーメイクや高重量を持ち挙げるだけでなく、心身の健康にとてもよい影響を与えるます。
色々な情報が多い中、本に集約されたまとまった情報はとても有益です。