ベンチプレスやパワーリフティングの大会では、体重差を補正して、誰が一番強いかを評価するツールが使われています。
長期に渡りウィルクス・フォーミュラが使われていました。2020年からは、より精度を上げるために、IPF GL ポイントが使われるようになりました。
これにより強さの評価は、どれ位変わったのでしょうか?!
ツール変更によりベンチプレスやパワーリフティングの強さが変わりました!
ツールによる強さの変化のイメージ
体重74kgの人の100kg挙げる強さは・・
◆IPF GL ポイントでは
体重59kgの人の88kg
体重120kgの人の126kg
と同じ強さです!
◆ウィルクス・フォーミュラでは
体重59kgの人の83kg
体重120kgの人の125kg
と同じ強さです。
新指標IPF GL ポイントでは、体重の軽い人は厳しめに、重い人はあまり変わらないという感じです。なんと体重59kgの人では5kgも差があります!
元々ウィルクス・フォーミュラは軽量級の人に有利という評価があり、体重が軽い人がフォーミュラ値が高くなることが知られていました。また重量級の方もやや有利に働いているとも言われています。
もう少し詳しく!
ベンチプレスやパワーリフティングの階級ごとにどれ位変化があったかを確認しました。
体重74kgの人が100kgを挙げる強さをベースに、体重が異なる人が何kg挙げると同等の強さがあるか確認した表です。
体重 | IPF GL ポイント | ウィルクス・フォーミュラ | ||
挙上重量 | GL ポイント | 挙上重量 | フォーミュラ | |
59㎏ | 88 | 53.1 | 83 | 71.89 |
66㎏ | 94 | 53.32 | 92 | 72.24 |
74㎏ | 100 | 53.33 | 100 | 71.93 |
83㎏ | 106 | 53.24 | 108 | 72.09 |
93㎏ | 112 | 53.14 | 115 | 72.24 |
105kg | 119 | 53.28 | 120 | 71.71 |
120㎏ | 126 | 53.16 | 125 | 71.86 |
IPF GLポイントの方がウィルクス・フォーミュラより59kg、66kg、120kgでより重たい重量を挙げる必要があります。逆に83kg、93kg、105kgでは同等の強さでは挙げる重量は軽くなっています。
今度は、更に重たい重量で比較してみます。
体重74kgの人が120kgを挙げる強さをベースに、体重が異なる人が何kg挙げると同等の強さがあるか確認した表です。
IPF GL ポイント | ウィルクス・フォーミュラ | |||
挙上重量 | GL ポイント | 挙上重量 | フォーミュラ | |
59㎏ | 106 | 63.96 | 100 | 86.62 |
66㎏ | 113 | 64.09 | 110 | 86.37 |
74㎏ | 120 | 64 | 120 | 86.32 |
83㎏ | 127 | 63.79 | 129 | 86.11 |
93㎏ | 135 | 64.05 | 138 | 86.69 |
105kg | 143 | 64.03 | 145 | 86.65 |
120㎏ | 152 | 64.13 | 150 | 86.24 |
今回もまた、IPF GLポイントの方がウィルクス・フォーミュラより59kg、66kg、120kgでより重たい重量を挙げる必要があります。逆に83kg、93kg、105kgでは同等の強さでは挙げる重量は軽くなっています。
この重量が多くなる、少なくなるは、どこの体重をベースにするかで変わってきますが、新評価ツールでは、軽量の人や最重量が有利というところを修正しているようです!
IPF GL ポイントとウィルクス・フォーミュラのツール
今回、このブログででは、IPF GL ポイントとウィルクス・フォーミュラのツールを作成しましたので貼り付けておきます。
自分の体重が新しいツールでどれ位変わったかを確認しましょう!
IPF GL ポイント
IPF GL ポイントの計算方法はIPFのこちらのサイト
ウィルクス・フォーミュラ
ウィルクス・フォーミュラの係数はこちらのサイトに掲載されています。
ウィルクスフォーミュラテーブル
IPF GL ポイントとウィルクス・フォーミュラの階級別データ
2つの指標をパワーリフティングやベンチプレスの階級別(体重別)のデータを参考に添付しておきます。ツールの精度や特性が垣間見れます。これを見て何が分かるか分かるかは、まだ考え中ですが・・
ウィルクス・フォーミュラ 階級とフォーミュラ値
縦軸にフォーミュラ値、横軸に挙上重量にしたグラフを階級別に作成しました。グラフの傾きは補正量に当たります。傾きが大きいほど大きく補正されていることになります。
最軽量の59kgだけが、傾きが飛びぬけて大きくなっています。やはり補正量が大きく、軽量では有利になっているようです。逆に重量では傾き量があまりかわらず、補正量が均等でないようです。
IPF GL ポイント 階級とGLポイント
同様なグラフをIPF GL ポイントで作成しました。
傾きは重量級でやや詰まっている感じですが、ほぼきれいに並んでいます。こちらの方が自然な感じです!
IPF GL ポイントとウィルクス・フォーミュラの差
ウィルクス・フォーミュラとIPF GL ポイントの差分をグラフにしてみました。
傾きがその差になるので、2つの指標の差は、59kgが大きく、66kgと74kgが少し補正されており、それ以上の重量では補正量はほぼ同じです。
まとめ
ウィルクス・フォーミュラは20年以上の実績があり、大会に出ない人でも認知されています。
新しい指標であるIPF GL ポイントは認知度はまだまだですが、今回確認してみてこちらの方がより精度が上がっているようです。
反面、軽量級の人は不利に働いていることを理解しておく必要があります。
ウィルクス・フォーミュラを使うと、あの人より強いのですが、IPF GL ポイントでは負けているなんてことが起こります。