ベンチプレスのトレーニングが好調のときは、レップ数やセット数が増える傾向がありますが、
ベンチプレスのMAX重量と総重量の関係はあまり話題になっていない気がします。何故でしょうか?
感覚的にはトレーニング量が多くなるとMAX重量が伸びる気がします・・?
最近の研究では、筋肥大量は総負荷総量に比例するとも言われています。
最近まで、筋肥大させたい部位をできるだけ高重量で追い込むことが、筋肥大につながると考えられていました。
近年では、筋肥大の効果はトレーニングの総負荷量によって決まるというのが定説です。
総負荷量とはトレーニングの強度(重量)、回数、セット数をかけ合わせると計算できます。
筋肥大の効果 = 総負荷量 = トレーニング強度(重量)× 回数 × セット数
更にボディーメイクの世界では「追い込む」ことがポイントとも言われていましたが、
近年は、追い込むことは必ずしも必須ではないという研究もあります。
でも実際にトレーニングを行ってみると、ある程度の高重量で、ある程度追い込む方が効果が高いという実感もあります。
あまり極端に低い重量であったり、全然追い込まないと、やはり効果は低くなります。
高重量を挙上することを目的とするベンチプレスでは、3つの要素が大切になります。
◆ベンチプレスが強くなるための3つの要素
①筋肉が太くなって強くなること(筋肥大)
②神経系の抑制が低減されること(神経系の発達)
③動作が上手になること(テクニックの向上)
筋力の向上は、筋肥大と神経系の発達によるものです。
筋肉量が多いほど、筋力も強くなります。
ところが
競技のベンチプレスは体重別の競技であることもあり、一定の体重で高重量があげることが強いことになります。
一般のトレーニーもベンチプレスを始めてから一定に期間は、
トレーニングにより筋肥大が起こり体が大きくなり、挙上重量も伸びます。
経験的にいうと、ここまでが中級者という感じです。
ここから先は、ベンチプレスの重量を伸ばすための、筋肥大の割合が減っていきます。
神経系の発達やテクニックが占める割合が増えるのです。
この意味では
初心者~中級者: 筋肥大トレーニングが重要
上級者:神経系の向上・テクニックの習得が重要
になります。
神経系の向上は簡単には、より多くの筋肉単位が同期して働けるようにすることです。
このため、高重量、低レップのトレーニングが主体になります。
多くは、1~5レップで行います。
それに対し筋肥大のトレーニングは低重量、高レップのトレーニングです。
よく初心者から中級者がすすめられるのは、10レップ・3セットや8レップ・3セットなどです。
でも上級者がこのトレーニングを行っても筋肥大は期待できません。
更に追い込んで、追い込んで総重量を増やして、疲労困憊にならないと筋肥大が起こりません。
MAX重量が100kgの人が、筋肥大トレーニングと神経系トレーニングを行うことを想定しました。
方法 | 重量 | レップ数 | セット数 | 総重量 |
神経系 | 90 | 3 | 5 | 1350 |
筋肥大 | 77.5 | 10 | 3 | 2325 |
100kgMAXの人にとってはどちらもかなり追い込んだトレーニングですが、
筋肥大トレーニングは総重量は、1.7倍以上になっています。
筋肥大を目指すのであれば、ギリギリ3セット目が10レップもしくは8レップ挙がる重量を設定します。
この重量で筋肥大トレーニングをしてみて、効果(筋肥大)するならまだ、体が伸びるキャパがあるということです。
実践的な筋肥大トレーニングと神経系トレーニングを比較してみた
私のトレーニング実績を使ってより実践的な、筋肥大トレーニングと神経系トレーニングの総重量の比較をしてみました!
筋肥大トレーニングとして、サイクルトレーニング(メインセットは8レップ)、
神経系トレーニングとして、5×5(5レップ、5セット)トレーニングを取り上げて比較してみます。
この時の達成したMAX重量は、
サイクルトレーニング 122.5kg
5×5トレーニングは 120kg
でした。
でももっと大きな違いは、MAXに近い重量を挙げた回数です!
◆サイクルトレーニングと5×5トレーニングの違い
・サイクルトレーニング 115kg以上を挙げたのは1回
・5×5トレーニング 115kg以上を挙げたのは10回(全ての回)
です。常に高重量を扱いたい人は5×5の方がおすすめです。
サイクルトレーニングは、筋肥大して地力を伸ばすのとピークをつくってMAXを更新するというイメージです。
◆サイクルトレーニング
軽めの負荷からスタートして毎週負荷を高くしていくトレーニングです。
私の場合は、1サイクルを5週で組み、5週終了後にMAXの測定、その次の週は休養としていました。
◆5×5トレーニング
5×5トレーニングは、神経系と筋肥大両方に効果があるトレーニングです。
レップ数はトータル25レップになるので、筋肥大トレーニングの8レップ、3セットに比べても遜色ありません。
また、5×5トレーニングのセットを行う前に、その日のMAX重量を毎回挙げていました。
サイクルトレーニングは、日曜日がメイン、水曜日は補助的なトレーニングです。
5×5トレーニングは、日曜日も水曜日もほぼ同等の負荷で行っています。
サイクルトレーニング(㎏) | 5×5トレーニング(㎏) | |||||
メイン | サブ | 計 | メイン | サブ | 計 | |
5週間計 | 25,925 | 15,550 | 41,475 | 17,750 | 16,488 | 34,238 |
5週間計で比較すると
総挙上重量は、はサイクルトレーニングに5×5トレーニング比べ1.2倍以上になっています。
どのトレーニングを選択するにしても、現在のトレーニングの目的が何かを明確にするのが、効果を出すポイントです。
ベンチプレスで総重量があまり話題にならないのは、ある程度体ができると、
神経系の向上やテクニックの向上の方が、効果が出やすくなってくるからではないでしょうか。
注意しなければいけないのは、神経系のトレーニングばかり行っていると、筋肉が弱り地力が落ちていくことがあるということです。
定期的、しっかり筋肉を使うトレーニングを入れることが必要です。